教えて持田さん!
Column
博物館の調査と研究
はい、学芸員も研究をします・・・することになっています。ただ、最近は「調査」はできていても「研究」まではなかなか進めていないのが現状で、お恥ずかしい限りです。
展示を説明するだけでなく、資料を集めて調べ、わかったことを記録して伝えるのも仕事です。浦幌町立博物館でも、地域の自然や歴史、暮らしについて調査を続けています。
いっぽう、ただ調べることと研究することとは少し違います。
調べたデータをもとに、これまでのさまざまな調査データや研究成果と比較して、新しくわかったことを学説として提示すること。それが「研究」です。
別な角度から表現すると、「調査」は博物館としての使命ですが、「研究」は「学芸員」の使命と言えるかもしれません。地域の資料を集めて詳しく調査することは博物館としての最低限の役割であり、そこから新たな「発見」をして「知」を産み出すのは、学芸員という専門職個人の関心や力量に大きく左右されるからです。
たとえば、浦幌町立博物館紀要第19号に、次のような報告を掲載しています。
「北海道十勝地方からマルミノウルシを記録する」https://museum-urahoro.jp/wp-content/uploads/2022/04/bulletin_19_13-15.pdf
マルミノウルシは、北海道では日高地方から胆振地方にかけて分布するトウダイグサ科の多年草ですが、これまで十勝地方からは記録されていませんでした。このたび、お隣の豊頃町で生育していることが確認されたことから、当館の紀要でそれを発表したものです。
ここまでは、「十勝にもマルミノウルシが生育している」という調査結果の報告でしかありません。では、なぜ日高山脈の南側に分布しているはずのマルミノウルシが、十勝地方に生育しているのか?その要因を明らかにするのは「研究」になります。
「調査」から「研究」へと進めるためには、もっとたくさんの時間や労力が必要です。専門的な技術や設備も必要となるため、残念ながら現状では当館単独でマルミノウルシの研究を進めていくことは困難です。そこで、この研究を進めてくれる研究者を博物館の外に探し出し、博物館としてその研究を支援するという形をとりたいと思っています。

K/Pg境界についても同様のことが言えます。
当館の学芸員の専門性では、K/Pgの現状を調査・記録することはできても、それ以上の研究を進めることはできません。それよりも、さまざまな機関の専門の研究者の方々をお招きし、研究を後押しし、その成果を町に残してもらい、わかりやすく皆さんにお伝えする。それが博物館の大きな役割かなと考えているところです。
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